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【25・その①】揺るがない、選択眼/武相荘(ぶあいそう)

2021年5月12日

いいもの探し【25・その①】武相荘(資料館・史跡)

今回のいいもの探しは、人混みを避けて、少し郊外へ。
ここは、武相荘(ぶあいそう)。白洲次郎・正子夫妻の暮らした古民家です。
このご時世、人が密集しないところで「観たかったもの」がなかったか?と考えた時にケイコとコジマの頭に浮かんだのがここでした。
駅から歩くこと20分近く。案内板を見て鶴川街道から折れ、少し坂を登ると…そこは別世界。

茅葺の母屋が資料館となっており、夫妻の生活をしのぶことができます。
今は「武相荘-春」の展示でした。
館内撮影不可のため、目を皿のようにして見学。

入口すぐのおそらく土間であったところ 太くどっしりとした梁の下にモダンなソファー 重厚なローテーブル
昔の家屋独特の薄暗くひんやりした雰囲気ですが、タイル敷きの床暖房になっていて驚きです。 

薄暗い空間にほの明るい電気スタンド(次郎作)は、よく見ると胴が大徳利…骨董とも言えない実用品の一升徳利(ガラス瓶が流通する前は一般的だったはず)をこんなところに使うとは。
「狙ったのかどうか?」というような次郎さんのセンスに思わずクスリと笑ってしまいました。

かと思うと、さりげなく椿や枯らせた蕗を挿してある花器は、なんと須恵器。

部屋の隅に複数の団扇。「どぜう」「ぎをん ●●(芸妓名)」。ちょっと俗っぽいところをニヤニヤと見つつ、床を軋ませながら田の字の間取りを隣室へ。

時計やライターなどの愛用品。それから遺言書 「葬式無用 戒名不要」(次郎)有名ですよね。同意したいけど、果たして自分もそう言えるだろうか。そんなことを考えつつ進みます。

奥には正子の書斎。手前の和室の壁から全て本棚。棚板がたわむほどの蔵書。分野も多岐にわたり、郷土史 歴史 国史 能 文学 全集もの 文化 古典 茶道 日本語 仏教 陶 青山二郎
そして著作も。

陶器類もあちこちに。正子さんには単純に「骨董好き」という印象を抱いていましたが、ご本人の「使えるものしか買わない。食べるように買う」という言葉のとおり「コレクション」ではなく、あくまでも気に入ったもの、使いたいものを手に入れていたということで、認識を改めました。

李朝 明時代
江戸の瀬戸物 織部 伊万里
魯山人 富本憲吉 ほか作家もの
天平時代

ジャンルにとらわれるということが全く無いように思いますね。

ご夫妻のエピソードや人となりについては、一時期ブームになったこともあり色々なところで目にしていました。ファンという程ではなくとも「格好良い」と好意的に捉えていたのですが…どこが「カッコイイ」のかを深く考えてしまいました。

揺るがない選択眼。
自分自身の価値観を信じて選び取って行く、というところなのでしょうか。
確かに、彼らの(見てくれの)スタイルだけ真似たら逆に格好悪い。

畳の縁側に行燈
母屋の前には伸びきった筍が
つるりとむけて若竹に

さいごに この建物について書かれた文章の一部ですが
(古い農家を購入し30年直し続けたことについて)
「もともと住居はそうしたものなので これでいい、と満足するときはない。」
「ぬけ目なく作りすぎても、人間が建築に左右されることに…」

住宅にかかわる仕事をしている身に、結構刺さる言葉でした。

建物として「無駄が多い」ことを欠点と決めつけずに、遊びのあるアレンジ可能なものとして考えて、あれこれ工夫したり手を入れたりし続けるというのが楽しい、という方ももちろんいらっしゃるはず。多数派ではないけど、忘れてはいけないことだなあと改めて気づかされたのでした。

【施設情報】
旧白洲邸 武相荘(ぶあいそう)
〒195-0053 東京都町田市能ヶ谷7丁目3番2号
公式ホームページ


【いいもの探し】ライファ大塚では、お客様だけでなく私たち自身も心豊かな暮らしを送るために、常に「良質なもの」(商品、サービス、お店、建物、アイデア、…etc.)を探すアンテナを張っていたいと考えています。リフォームに直接関係あるもの、ないものに関わらず「これ、いいね」と思うもの。もし見つけたらぜひ皆さんにも紹介したい!仕事の合間を縫って、社内でも探求心の強いケイコ、コジマのコンビが事務所を飛び出し、ゆるくブログでレポートします。