【30・前編】「アイノとアルヴァ 二人のアアルト展」/世田谷美術館
いいもの探し【30・前編】世田谷美術館(美術館)
フィンランド出身の建築家の巨匠 アルヴァ・アアルトとその妻アイノ・アアルト。
夫アルヴァのことは知っていても、妻アイノは知らないという方は多いのではないでしょうか。(私もその一人!)
今回 世田谷美術館で開催された展覧会は、妻アイノにも光を当てた内容で、アルヴァを陰で支えたというより、アルヴァと対等に、2人で1つのアアルトブランドを作っていったことが明らかになっています。
内容が幅広く、写真も多く撮れたので、「前編・後編」の2回に分けてご紹介していきたいと思います。今回は前編です。
<展覧会内容>
二人が協力して数々の作品を生み出していった25年間を、全7章に分けて展示・紹介していました。※1章~4章は撮影NG。5~7章は撮影OKでした
早速会場へ入ると入口脇にインスタレーション(アルテック社とittaraによる特設コーナー)がありました。
アアルトデザインの有名な家具やインテリアがセッティングされていて、展示会場へ向かう気分を盛り上げてくれます。中に入ったら写真は撮れないかもと(武相荘での教訓)、パシャパシャ撮影。
<アイノと出会うことで生まれた新たな価値観と独自性>
アルヴァとアイノは共に働き始めてから半年後に結婚しますが、アイノがパートナーになったことで、アルヴァに「暮らしを大切にする」という視点が生まれました。
そして、夫妻の“心地よい暮らしのあり方”への追及が、機能的(モダン)な中にもフィンランドの自然から感受した “優しさや柔らかさ、素朴さ” を感じるアアルト建築の独自性を生み、世界的評価へとつながっていったのですね。
会場には、再現展示や映像、パネル、実物(家具・インテリア)などを使って二人の取り組んできたプロジェクトや歩みが紹介されていました。とてもわかりやすくて見応えあり!
社会に貢献することを強く意識していたアイノ。アイノは、建築空間やインテリアが子どもたちの発育にも影響することに深く関心を持っていました。そして、そこまで考慮してデザインされていた、というのを知って驚きです。
アイノが初代アートディレクターを務めていたアルテック社は、後にフィンランドの幼稚園では定番となる家具を数々生み出しました。
会場の一角に、ヘルシンキにあるアアルトハウスのリビングルームが再現されていました(天井の高さや梁の位置も同じ)。ゼブラ柄はアイノのお気に入りだったそうですよ。
ブログ前編の最後に、今回の展覧会の中でアアルト夫妻が目指していたことを表しているような、印象的な言葉を見つけたので紹介させていただきます。1930年に開かれた「最小限住宅展」に参加した時、夫妻が言っていた言葉です。
『 良質で機能的な住まいとして必要なのは、大きさではなく「優れた設計」。
そして、コストを抑えあらゆる階級の人に質の高い生活を実現する住宅を提供すること。「生活革命」 』
アルヴァがアイノと出会って「暮らしを大切にする」という視点がめばえたこと、それは地域や社会に目を向け、日々の生活に根ざした建築を目指す姿勢につながっていったのではないでしょうか。
「生活革命」と銘打ったアアルト夫妻の言った言葉は、住宅の仕事に関係する私にとって、新たな一つの定義を教えてくれた、考えさせられる言葉でした。
次回後編は、国際舞台でのアアルト夫妻と日本初公開品を含むプライベートな品(ファミリーコレクション)をご紹介いたします!
【お店情報】
世田谷美術館
〒157-0075 世田谷区砧公園1-2
公式ホームページ
※世田谷美術館へお越しの際は、事前にHP等で展覧会のスケジュール、美術館の規定・お願いをご確認の上、ご来館をお願い致します。
【いいもの探し】ライファ大塚では、お客様だけでなく私たち自身も心豊かな暮らしを送るために、常に「良質なもの」(商品、サービス、お店、建物、アイデア、…etc.)を探すアンテナを張っていたいと考えています。リフォームに直接関係あるもの、ないものに関わらず「これ、いいね」と思うもの。もし見つけたらぜひ皆さんにも紹介したい!仕事の合間を縫って、社内でも探求心の強いケイコ、コジマのコンビが事務所を飛び出し、ゆるくブログでレポートします。
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